[2996] おかやま的ココロ 2015/10/01 

10月になりました。
 台風が頻繁に発生しているせいか天気の変動が激しい気がします。そのため気温の変化も激しく、体調管理には十分に気を付けたいところです。

 さて、現在ノーベル賞の日本人受賞が続いており、久々に明るい話題がニュースをにぎわせていますよね。ノーベル賞はダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった世界的な賞であり、人類への貢献度などを踏まえて受賞者に送られます。

 そこで今回は、近い将来ノーベル賞を受賞するかもしれない画期的な研究についてご紹介したいと思います。

 今回ご紹介する記事は、過去の出来事を思い出せない認知症患者や脳に障害を負った人に希望の光が差し込んだ、というものです。

 米南カリフォルニア大学とウェイク・フォレスト・バプティスト医療センターの研究者が、障害のある脳が記憶を形成することを補助する世界初の人工インプラントを開発しました。これは脳内の記憶シグナルの操作に成功した世界で初めての事例です。

 脳が変性すると、最近の出来事から長期記憶が形成されなくなります。脳に障害のある一部の人が、昔の出来事は思い出せるが、最近の出来事は思い出せないのはこのためだそうです。

 本研究の肝は、脳が短期記憶を長期記憶に翻訳するうえで利用する電気シグナルを模倣したコンピューターアルゴリズム。SFを彷彿とさせる本技術は、電極などを脳に直接移植することで使用します。

 記憶を「読む」方法はまだ存在しません。しかし、この電気的シグナル伝達装置を利用すれば、脳内の損傷部位や病変部位を迂回しその電気シグナルから記憶の内容や意味を解読することができます。

 開発リーダーのテッド・バーガー氏によれば、これは意味を理解することなくスペイン語からフランス語へと翻訳するようなものだとか。ラットや猿を用いた実験は成功しており、現在は人間による実験が進められています。これまでてんかん症状のある9名の慢性発作を治療するために、患者の脳に電極が移植されました。

 実験では、コンピューターの画面上に表示された様々な形の位置を思い出すなど、患者に単純な作業を行ってもらいます。そしてその際の脳内の電気シグナルを読み取ります。

この結果を基に、シグナルの翻訳を90%の精度で予測できるようになるまで、電気的アルゴリズムが調整されます。神経シグナルの予測ができるということは、脳の損傷部位の機能を補助あるいは代替する装置の開発が可能になるということです。

 次のステップは、翻訳されたシングルを患者の脳内に送信することだそうです。問題のある部位を迂回できれば、正確な長期記憶が形成されるのです。

 本研究は国防高等研究計画局(DARPA)から資金が提供されたものだそうです。彼らが目指すのは、負傷した兵士の記憶回復。しかし、記憶が蓄えられている海馬の損傷部位を迂回するなど、アルツハイマー病のような神経変性疾患の治療としても利用することができます。

 なお、世界ではすでに麻痺のある人の脳に移植した装置を使って、ロボットアームや自分自身の手足で簡単な動作を行う実験に成功しています。

 このように、すでに実用化もされはじめているこの研究ですが、様々な事例が増えることによってさらに多様な用途も増えていきそうな予感がします。高齢による脳の衰えとアルツハイマーなどの障害は別物だと思いますので、この研究によって世界中の人が実年齢に伴った健康状態で人生を送ることができれば、これほど素晴らしいことはないと思います。それではまた。

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