[2896] 賃貸事業に厳しさが! 2014/10/11 

 相続税の負担がどんどん増えて傾向です。ですから、相続対策を急ごうとする人が多いのは当然のことでしょう。国土交通省がまとめた新設住宅着工戸数(2014年6月末時点)によれば、持家と分譲住宅の着工戸数がそれぞれ5か月連続で減少しているのに対して、貸家は16か月連続の増加となっています。

 最近の増加幅は次第に小さくなっているものの、消費税率引き上げ後の落ち込みはそれほど大きくなく、相続対策として貸家の建築をした人が相当数含まれているのでしょう。貸家を建てることによって土地の評価額を下げ、相続税を低く抑えることができるからです。

 その一方で、総務省が2014年7月29日に発表した「住宅・土地統計調査」によれば、空き家数が全国で約820万戸に達し、そのうち52.4%(約429万戸)が賃貸用の住宅です。しかも、これは2013年10月1日現在における推計値であり、それから2014年6月までの9か月間で28万戸あまりの貸家が新たに着工されています。

 今もさいたま市西区では来年の春に向けて新築物件がどんどん建築されており、私たち不動産業界のサイトには次々と情報が入ってきています。

 日本における人口減少はすでに始まっており世帯数の減少も間近に迫っている状況です。さらに住宅の所有率は年々上がってきており、その裏返しとして賃貸住宅の需要はこれから減り続けていくことが予測されます。今年の前半に竣工したままなかなか入居者が埋まらずに、空室が目立つ賃貸マンションやアパートがたくさん存在しています。最近では募集を開始して間もなく、敷金や家賃が下がるケースも出ています。

 新築物件の中で特に目立つのは単身者向け物件です。1Kから1LDKのアパートやマンションで単身者向けでペット可物件もあります。売買専門業者がアパートを建築するケースも出てきていますが、駐車場が無い・陽当たりが悪い・駅から遠い物件だとなかなか成約できていません。カウンターキッチンでLDKが10帖以上もあると、ご案内すると印象が良いです。しかし家賃が高いので2年の更新を待たずに退去するケースも多いです。

 相続対策として賃貸住宅の建築を考えるのであれば、長期的な視野で将来のニーズをしっかりと見極めることが欠かせません。将来に子が賃貸住宅を相続したとき、「賃貸経営」の意識を持ち合わせていなければかえってお荷物になってしまうこともります。家主様とお話していく中で「まだまだローンがたくさん残っているので、子供に財産は要らない」と言われたと、お聞きした事もあります。

 アパートを建築して家賃保証を受ければ問題が無いと考えておられる家主様が、どんどんアパートを建てられていますが、管理会社が当社を訪れて募集協力を依頼される時「将来の家賃保証の金額は下がるだろう」と言っています。退去時の修理費負担・設備の老朽時の交換代・定期的な建物メンテナンス代・空室が増加する事による保証家賃の減額など、いろいろな方面からのリスクを検討した上で賃貸事業を考えましょう。

  この記事は このアドレス で表示できます。




[ TOP ] [ HOME ]
CoolNote2 Ver 3.3