[2936] 熟年離婚の真相! 2015/03/06 

 不動産会社の事務所に入るには、ある程度の勇気が必要だと思います。私たち不動産会社で仕事をしている人間でさえ、初めて訪問する不動産会社に「どんな会社で、どんな人が応対してくれるのだろう?」と不安を持つことがあります。

 また、電話で話をするだけで、その会社の印象や雰囲気を感じます。ですから、私たちも出来るだけご相談しやすい環境作りを心がけています。例えば、解りやすい店頭の広告作成や、笑顔でお客様をお迎えする事です。

 60歳前後の女性が来店されました。賃貸物件の探し方や、自分に借りる事が出来るのかという事も解らないご様子です。大抵の方は店頭の物件を見られて「このような物件を探しています」と言われるので、条件やご希望をお聞きしやすいのですが、初めて不動産会社に入った女性は不安な様子です。

 まず、お引越し理由からお聞きする事にしました。するといきなり夫に対する不満を話しだされて「離婚しようか悩んでいる」という展開になりました。これは大変と思い、事情をお聞きしていると不動産相談ではなく人生相談に発展しました。しかしこのような話は常にある事で、不動産のご相談はいつでも人生相談に通じるのです。人生の節目には引越しが付き物ですから。

 この女性の悩みは、多くの熟年夫婦の悩みでもあると思いました。40年間連れ添った夫婦が、老後は夫婦そろって仲良く穏やかな生活スタイルに入るのが普通だと想像するのですが、多くの女性は苦痛を多く感じるようです。

 夫が働いているうちは顔を合わせている時間が少なく、子育てをしている時間は協力が必要です。しかし子供が自立して夫婦二人の生活になると、妻は夫の欠点ばかりが目についてしまうようです。優しさを感じたいのでしょう。そうでないと気持ちが安定しないのです。

 夫の立場から言うと、長年連れ添ってきた妻だから自分の事は全部解っているはずだし言葉で言わなくても理解しあえていると考えるのです。しかし妻は決して納得していません。座ったまま何もしない。言葉は命令調。その場にいても会話がない。家事を手伝わない。話すとすれば文句を言う事だけ。自然と口を利きたくない。それが進むと「同じ空気を吸いたくない」という重症になってしまいます。

 アプローチには60〜70歳代の男性が、毎月のように一人暮らしのアパートを探しに来られます。詳しい事情はお聞きしませんが、奥さんがおられる人が5割以上です。お見かけした所、表面的にはとくに問題を感じません。しかし今回のご相談女性の話では「夫は外面がいいのでご近所さんも子供たちも、夫の実態が解らない」という事でした。

 多くの妻たちが老後の夫婦の在り方について悩んでおられます。中にはうつ病寸前にまで追い込まれている人もおられるのですが、表面的にはただの不満としか受け止めて貰えずパニック寸前です。一般的には夫婦そろって元気な老後は羨ましい限りです。奥さんが自身の要望をぶつけて聞いて貰える夫であれば、夫婦関係は改善されるのですが、上から目線で話す夫で、優しい言葉ひとつ掛けない夫では妻から離婚を申し渡されるか、別居を希望されます。

 今回の女性はずっと専業主婦を続けて来られました。今から一人で暮らすには不安定要素が多すぎますし、賃貸物件を借りる事も難しいです。私のアドバイスは「母親と同居すると言って、自宅を留守にしても表面的に夫とは仲良く付き合う」という事でした。

 それでは商売にならないのですが、私はその人にとってどのような生き方が一番幸せなのかを考えて、例え仕事でお手伝いできなくても私のアドバイスがお役に立って、少しでも幸せになって頂ければ満足です。お名前も聞かずに事務所を後にされたお客様にエールを送っていました。女性は「この不動産会社に話を聞いて貰えて良かったわ。頑張ってみます。」と笑顔になって帰られたので私まで嬉しくなりました。

 定年退職したご主人に言いたい言葉は1つ。「奥様に優しい言葉を掛けてあげましょう」
若い人たちは結婚した時から家事分担を半々にしています。子育ての大変さも解っています。女性は家事を何も手伝わない夫を敬遠します。今の時代は、小まめな男性でなければ結婚さえ出来ない可能性が高いのです。しかし人は変わる事が出来ます。ずっと自分の為に尽くして付いてきてくれた奥さんの事を考えれば、退職後は例え照れがあっても正直な気持ちを伝えるようにしましょう。

 長年連れ添った奥さんも一人の女性です。食事を食べた時「おいしいよ」という一言で夫婦関係が改善されます。女性は単純で解りやすいのです。そして言葉ひとつで付き合い方が変わります。当然の事が当然の事とは思っていないです。いつも優しさと笑顔が欲しいのです。熟年夫婦の皆さん、お互いに優しさと感謝を忘れず、理解しあって今の人生を全うして下さい。年を取ってから一人で暮らすのは、本当に孤独ですから。お互いを労り合って生きましょう。

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