[2980] 老後破産が急増中! 2015/08/02 

「老後破産」という言葉を聞かれた事がありますか? 私はたまたまテレビで知りましたが、現実を考えると誰にでも起こりうる事だと認識してきました。不動産の仕事を通じても、お客様が決して楽ではない生活を送られているからです。

「老後破産」とは、高齢者が生活保護基準より低い収入で生活している状態を指していて高齢者世帯の約4割が老後破産状態にあるそうです。一人暮らしの世帯の半数が低収入でそのうち3分の1の人が生活保護を受けており、残り3分の2の高齢者が老後破産の状態だというのです。

 ほとんどの方は、定年退職前には「自分が老後破産するとは考えたことも無かった」と言います。会社員として定年まで働き、退職時には2千万〜4千万円の貯蓄があった人も破産される方が増加しているそうです。それだけ貯蓄があって、年金受給しているのに、なぜ破産するのでしょう?

 第一の原因は、年金が生活費より少ない事です。平成27年(2015年)度の国民年金の月額は、満額で6万5008円、夫婦2人で13万16円です。これでは生活できません。この金額は子世帯と同居することを前提に決められたものです。今後さらに年金額は減り、年金から引かれている健康保険料、介護保険料は値上がりするため、生活はますます苦しくなります。

 平成26年の高齢無職夫婦2人の平均的な収入は17万円、それに対する生活費は23万円で、約6万円不足しますから、生活するのは大変です。テレビで見ましたが、生活保護費より僅かに年金額が多い為に、逆に支払う金額が多くなり、生活保護よりずっと苦しい生活になります。生活保護だと、医療費・税金・水道料などが免除されるのです。

 第二は、医療費の使い過ぎのケースです。先進医療や健康保険が適用できない自由診療を受けることによって、お金を使い過ぎないことが大切です。自由診療は全額自己負担になるため、あっと言う間に医療費が嵩んでしまいます。周りの人たちに話を聞きますと 「70歳を超えて入院すると、身体が弱くなる上に元には戻らない事が多いので、病気になってもあまり病院では看て貰いたくない。」との意見が増えているようです。

 第三は、子供の借金の返済を負担するケースです。交通事故・リストラなどの理由により、子供が借金を負うことがあります。子供は大変な生活をするかもしれませんが若いのでなんとか自力で頑張ってもらいましょう。ここは心を鬼にして!子供の為なのです。

 第四は、定年を過ぎても住宅ローンが残っているケースです。年金収入だけでは生活費にも足りないので、ローンなど払っている余裕はありません。定年までに払い終わるようなローン設計をしないと、老後破産確定です。

 これ以外に考えられる事として特に心配なのが、相続税の節税の為にアパート建築をされている家主様です。今すぐ建築すれば、計算上は税金の支払額が減るかも知れませんが、肝心なのは将来に予測される収益計算です。

 少子高齢化に伴い、住宅の供給過剰に拍車が掛かっています。いつの間にか結婚する人の割合が減少し、悩みを抱えておられるご両親が増加しています。同居する子供たちがリストラに遭い、親の年金をあてに生活する40代50代の子供世代も増加しています。

 将来の安定収入を考えて、アパートで収入を得ようと考えられる家主様が多いとは思いますが、そう遠くない未来の賃貸市場は、今までに考えられなかった困難が待ち受けているように思います。

 少なくても今の60歳代の人たちは10年後仕事をしていません。20年後は生きているかどうかも解りません。その頃、賃貸物件の入居率はどうなっているでしょう? 家主様にとってまだたくさんのローンが残っており、修繕費がどんどん掛かる時期でもあります。

 跡を継いだ子供たちに負担を残さないようにするのが私たち親の役目です。逆に、子供たちの面倒を看ていたら、子供たちが自立しないので親がいなくなった時に路頭に迷う事になります。しかし、私たちは自分が生きて行くだけでも大変な時代になってしまったのです。

 重要なのは、
「老後は「年金+貯蓄」の範囲内で生活する」
 
 皆さんは、
ご自身の月々の生活費を把握されていますか? 

 私はここ数年、家計簿をつけています。1年を集計して結果的に貯蓄が減っていなければ今の生活水準を維持しようと考えています。まだ現役で働いているうちは、趣味も楽しみたいと思ってますので。

 そして、お客様を見ていてよく思う事です。高齢で働けず生活に困ったら、生活保護を申請すべきかも知れません。60歳以上の生活保護の方が多くなっています。

 今までは生活保護は恥ずかしいという考えの人が多かったのですが、考え方を切り替えて自分に与えられた権利を有効活用し、子供たちに迷惑を掛けない方が良いかもしれません。

 国民は、最低限度の生活を保障されているので、生活保護基準より低い収入での生活を強いられることはありません。高齢になって働くことが困難な状態に陥り、生活に困ったら、堂々と生活保護を申請しましょう。

 このような事もあると心の隅に留めておられれば、本当に困った時に気持ちを明るく生きていけますね。

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