[2987] おかやま的ココロ! 2015/09/01 

 9月になりだいぶ暑さも和らいできたように思います。夜には少し肌寒い日もありますね。体調にはくれぐれもお気を付け下さい。

 さて、皆さんはこの夏にどんなことをしましたか? 小さい子供やお孫さんがいらっしゃる方はどこかに遊びに行ったという方も多いと思います。夏らしい遊びと言えば海やプール、川遊びなど自然と触れ合うことも大事ですよね。

 私がこの夏子供たちと遊んだ中で印象深かったのが虫取りです。友達と息子2人を連れて夜に出発、カブトムシとクワガタがいそうなポイントを色々と回っていきました。

 ところが時間が少し早かったせいかなかなか見つからず、午前0時を過ぎてしまった頃に「次の居場所で見つからなかったら帰ろう」と子供たちに話しました。

 すると最後のポイントで大量のカブトとクワガタが見つかり、みんなで大喜びしたという、まさに諦めかけたところからの大どんでん返しの思い出でした。

 そんな虫取りの思い出は誰しもがあると思いますが、世の中には新種の昆虫を探している、私たちとは次元の違う虫取りをする方たちがいます。しかし、ここでご紹介するのは正確には「虫取り」ではなく「虫探し」。どういう違いがあるかわかりますか?

 現在、知られている種は120万種ほどで毎年、そこに15000〜20000種が追加されているそうです。そして、2011年の推定によれば、今なお750万種が発見されるのを待っているそうです。「待っている」という言い方がポイントです。1つの例をご紹介したいと思います。

 2014年2月12日、新種の甲虫が特定されました。六角形の頭は、金属的な青緑と紫の光沢を放ち、そこからギザギザの触覚が生えています。しかし、記載された新種はただの甲虫ではありません。

 かのチャールズ・ダーウィンがビーグル号での航海の途中、1832年にアルゼンチンで採取したもの。そのまばゆい姿と歴史的な由来にも関わらず、180年の時を経て、ようやくテネシー大学のスティリアノス・チャツィマノリス氏が新種であると気が付きました。

 彼はダーウィニルス・セダリシと命名しました。180年前に採取した虫が新発見というのはなんとも不思議な出来事ですよね。
 どういうことかというと、今日では地球上の種などほぼすべて判明していると思うかもしれませんが、実際は数百万種が未発見のまま標本として残されているそうです。学者が新種を発見したと考えた時、まずそれが記載済みでないかどうか確認しなければなりません。

 つまり、博物館のコレクションを探索し、専門家に意見を聞き、DNA鑑定などを行う必要があるということです。それから名前を決め、その詳細、特に他種と区別するうえでの特徴を公表します。

 新種発見と聞いて思う一般的なイメージと言えば、アマゾンの奥地で学者が見たこともない種を発見、調べたら新種だったという流れですが、大きな自然博物館に眠っている区分けされていない標本の中に新種がいるという事例も結構多いそうです。

 では、なぜ新種なのにそれが博物館で調べられずに保管だけしているのか? という疑問が湧いてくると思います。2012年、フランス、パリの国立自然史博物館が、新しく採取された標本が種として記載されるまでには平均20.7年かかると推定しています。

 これほどの時間がかかる答えのヒントは、ロンドン自然史博物館の象徴でもあるヒンツェホールから続く分厚いドアの向こうにありそこには17万種からなる1000万匹の甲虫が収められています。

 もし、冒険から2万匹の甲虫を持って帰ってきたら、それを仕分けして標本にするまでに3〜4年はかかるそうです。それから科に分類され、最終的に種へと分類されます。最大の問題は、それを見分けることができる専門家が見つかるかどうか。甲虫は40万匹もおり、それらに精通した専門家が常に世に存在するとは限らないのです。

 ここまでの話を読んでみて、どう思いますか? たびたびニュースなどで耳にする新種発見という話題の裏には、こんな大変な苦労話があったんですね。もし皆さんの中に昆虫に精通する知識を持った方がいるのであればわざわざアマゾンの奥地に行かずとも、大きな博物館の標本を1つ1つ調べてみた方が新種発見につながるのかもしれませんね。

 私自身はそんな知識はありませんので、子供と一緒に虫取り遊びを堪能することにします。それではまた次回。

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